納棺前に湯灌(ゆかん)を行うかどうかを尋ねられ、判断に悩まれるご遺族もいらっしゃるかと思います。ここでは、その時になって正しい判断ができるように、湯灌を行う意味についてご紹介します。 湯灌とは、ご遺体を入浴させて洗い清めることをいい、故人が無事に成仏し来世に導かれるよう、現世の穢れや煩悩などを洗い流す儀式として古くから行われてきました。昔は、それだけではなく霊魂を復活させるという呪術的な意味もあったようです。
そして、単なるしきたりというだけでなく闘病生活でお風呂に入れなかった方や、お風呂が好きだった方を入浴させて奇麗にしたいというご遺族の気持ちをかなえるものでもあります。
また、お湯で遺体を温めることで死後硬直をとり、遺体を棺に納めやすくするために行われたという説もあります。故人の身体は、亡くなったときから徐々に腐敗が進み、体液漏れや出血、皮膚の変色なども起こります。
こういったことに対する応急処置は病院で行われることがほとんどですが、火葬までの間に腐敗が進行してしまうこともあります。
最後に湯灌をもって身体を綺麗にするのは、身体の変化に対する保護手段のひとつでもあります。
以上のように湯灌は宗教的意味、衛生的意味、故人に対する想いといった意味が込められたものであるといえます。そういった意味を理解しながら行うかどうか検討してみてはいかがでしょうか。