葬儀で使われる樒(しきみ)について


 樒(しきみ)の名前の由来は、四季を通して緑が美しいことから「四季見(しきみ)」又は「四季美(しきび)」と呼ぶようになった説と、もう1つは特にその実の毒性が強いことから「悪しき実(あしきみ)」とされ、この「あ」が取れて「しきみ」なったとされる説があります。                     

 歴史を遡ると、樒はインドから中国に渡り、鑑真が日本にもたらしたとされています。鑑真といえば奈良時代に唐から日本に渡り「律宗」を開いた僧侶です。立派な僧侶である鑑真が持ってきた木であるため、仏教のモチーフとして扱うようになったとされています。葬儀ではその毒性や独特の香りから「死者を悪霊から守る」「邪気を払う力がある」とされ、枕飾り、祭壇等に使われてきました。

 その他にも死に水を取る時(臨終の際に故人の口へ水を含ませてあげること)やご本尊に触れるとき(創価学会では白い手袋をしたうえで樒の葉を口にくわえご本尊に息がかからないようにします)やお墓参りをするときなど樒が使われています。                                 

 以上、樒の由来や使われ方について記載しましたが、樒は日本の仏教にとって縁の深い植物です。その意味を知ったうえで葬儀に臨むと葬儀という儀式が一層感慨深いものになるでしょう。