樒(しきみ)と榊(さかき)の違いについて


 樒(しきみ)と榊(さかき)、使い方は全然違うけどパッと見似ていて見分けがつきにくいですよね。

お供え用に準備していたのに間違えた!なんて事にならない様にしっかりと違いを頭に入れておきましょう。

 まず、その形状について、樒は葉の生えている方向が放射状になっていて四方八方に広がっています。一方、榊は葉が平面的で左右に分かれて生えていて裏表がはっきりしていることも見分けるポイントです。

 用途については、樒は仏事で使用されます。仏教の始まったインドでは泥の中に根を伸ばし水面から花を咲かせる蓮の花を悟りの象徴として扱ってきました。樒はその花が蓮の花に似ていることから代用品として使われるようになったとされています。蓮(ハス)や睡蓮(スイレン)の総称を「蓮華」(れんげ)といい、この「蓮華」は仏教の経典にある「南無妙法蓮華経」という題目にも使われています。蓮華に似た樒が日本の仏教で重視されてきたのは、特有の強い香りや毒性を持つことから故人や先祖の霊魂を鎮め清浄さを保つと考えられていたからでしょう。

 一方、榊については神事で使用されます。日本では古来より先端の尖(とが)った植物には神様が宿ると考えられてきました。葉の先端が尖っていて日本に広く分布していた「榊」もいつしか神様が降り立つ「依り代」(よりしろ)として神社や神棚にお供えするようになったのです。

 神聖な植物である榊を介して神様と交流ができると昔の人は考えたのかもしれませんね。